EXP関数:e(自然対数の底)のべき乗を取得する
EXP 関数は Excel で用意されている関数の一つで、自然対数の底 e のべき乗を取得します。 e はネイピア数と呼ばれる無理数で 2.71828182845・・・ という値を持っています。ここでは Excel における EXP 関数の使い方について解説します。
※ Excel の対応バージョン : 365 web 2021 2019 2016 2013 2010 2007
※ 公式サイトでの解説 : EXP 関数
(2021 年 09 月 15 日公開 / 2022 年 02 月 20 日更新)
EXP関数の使い方
EXP 関数は e のべき乗を取得します。 e は自然対数の底でネイピア数と呼ばれる数値です。
EXP(指数)
引数にべき乗の指数に指定する数値または数値が含まれるセルを指定します。 e の x 乗は次のように表されます。
指数に分数 1/x を指定した場合は e の x 乗根を取得した場合と同じ結果になります。
指数に負の値 -x を指定した場合は x を指定した場合の逆数と同じ結果になります。
例えば引数が 3 だった場合、 e3 となります。また引数が 1/2 だった場合は e1/2 となります。また引数が -2 だった場合 1 / e2となります。
=EXP(3) --> 20.08553692 =EXP(1/2) --> 1.648721271 =EXP(-2) --> 0.135335283
べき乗の値を取得するために Excel では POWER 関数が用意されています。 POWER 関数では 1 番目の引数に底の値、 2 番目の引数に指数の値を指定するので、 EXP 関数は POWER 関数の 1 番目の引数に e ( =2.71828182845904 )の値を指定した場合と同じです。
=POWER(2.71828182845904,3) --> 20.08553692 =POWER(2.71828182845904,1/2) --> 1.648721271 =POWER(2.71828182845904,-2) --> 0.135335283
※ POWER 関数について詳しくは「POWER関数:べき乗を取得する」を参照されてください。
ネイピア数について
e は自然対数の底でネイピア数と呼ばれる数値です。 e の値は次のようにになっています。
e = 2.71828182845904
また e は EXP 関数を使っても取得することができます。 e1 = e ですので、 e の値は次のように取得することができます。
=EXP(1) --> 2.718281828
EXP関数のサンプル
それでは実際に EXP 関数を使ってみます。 Excel のシートに対象の数値を次のように入力しました。
結果を表示する C3 セルに次のように EXP 関数を入力します。引数にべき乗の指数となる数値が入力されたセルを指定します。
=EXP(B3)
Enter キーを押すと C3 セルには次のように表示されます。
C4 セルから C12 セルについても同じように EXP 関数を入力しました。
関数の挿入を使ってEXP関数を入力する
EXP 関数を入力する場合に関数の挿入を使って行う方法を試してみます。関数を挿入するセルをクリックして選択したあとで、関数の挿入をクリックします。
「関数の挿入」ダイアログが表示されたら関数名のところで「EXP」をクリックしてください。そのあとで「OK」をクリックしてください。
「関数の引数」ダイアログが表示されたら、取得するべき乗の指数を引数に指定します。引数に入力するセルを Excel 上でクリックして下さい。
ダイアログの引数のところに先ほど選択したセルが表示されます。
引数の指定が終わると結果としてセルに表示される値も表示されます。最後に「OK」をクリックしてください。
最初に選択したセルに EXP 関数が入力され、指定した指数を使って e のべき乗を取得した結果がセルに表示されます。
EXP関数を使って指数グラフを作成する
EXP 関数を使って指数グラフ y =ex を作成してみます。次のようなデータを用意しました。
ネイピア数 e に対する x 乗を取得するために C3 セルに =EXP(B3) と入力しました。
C4 セルから C11 セルまで先ほどと同じ数式を入力しました。
それではグラフを作成します。作成したデータをすべて選択してください。そのあとで「挿入」タブをクリックしてください。
リボンが表示されたら「グラフ」グループの中の「散布図(X,Y) またはバブルチャートの挿入」をクリックしてください。
表示されたグラフの一覧の中から「散布図」をクリックしてください。
EXP 関数を使って y = ex のグラフが作成できました。
近似曲線を表示する
作成したグラフに近似曲線を表示してみます。グラフを一度クリックし、グラフの右上に表示された「+」をクリックしてください。
グラフに表示するグラフ要素の一覧の中から「近似曲線」にマウスを合わせると矢印が表示されるのでクリックしてください。
表示されたメニューの中から「その他のオプション」をクリックしてください。
画面右側に「近似曲線の書式設定」を設定する画面が表示されます。「近似曲線のオプション」アイコンをクリックしてください。
「近似曲線のオプション」の中で表示する近似曲線の種類として「指数近似」を選択してください。
作成したグラフに近似曲線が表示されました。
※ Excel で散布図のグラフを作成する方法について詳しくは「散布図の使い方」を参照されてください。
指数グラフを片対数グラフに変更する
先ほど作成した指数グラフは小さい値と大きい値の差が大きすぎて、ほとんどのデータの値をグラフから読み取ることができません。そこで指数グラフを片対数グラフに変更してみます。片対数グラフとは縦軸または横軸のどちらか一つの軸を対数目盛にしたグラフのことです。
今回は縦軸の目盛を対数目盛に設定します。縦軸にマウスを合わせてください。
軸の上で右クリックし、表示されたメニューの中から「軸の書式設定」をクリックしてください。
画面右側に「軸の書式設定」を設定する画面が表示されます。「軸のオプション」アイコンをクリックしてください。
「軸のオプション」の中で「対数目盛を表示する」にチェックをしてください。「基数」は 10 のままとしました。
グラフの縦軸の目盛りが対数目盛に設定されました。通常の目盛は一定の幅ずつ増加していきますが、対数目盛の場合は基数として 10 を設定したので 10 倍ずつ増えていきます。
指数グラフを片対数グラフにすることで、小さい値から大きい値までグラフ上で値を確認することができるようになります。
近似曲線を表示する
グラフを片対数グラフにした場合、データは直線状に並びます。このデータに対して近似曲線を表示する場合に「線形近似」を選択してしまうと適切な近似曲線は表示されません。
近似曲線を表示する場合に「指数近似」を選択してください。
適切な近似曲線が表示されました。
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Excel における EXP 関数の使い方について解説しました。
( Written by Tatsuo Ikura )

著者 / TATSUO IKURA
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